蝉①
連日暑い日が続いていますね。境内でも蝉が鳴き始め、土から随分離れた場所にもかかわらず玄関先に抜け殻が・・・。「こんな所まで這ってきたのかしら。」と見てると、子供たちがあっという間に手に取り、「抜け殻バッチだー」とTシャツにつけて走り出しました。幼いころ、同じクラスの男の子が蝉の抜け殻を集めて体中にくっつけて自慢していたのをふと思い出し、昔も今も人を惹きつけるものがなにかしらかあるんだなと蝉の声響く境内をかけゆく子供の姿を眺めておりました。
なんだか妙に蝉のことが気になったので色々調べていますと、蝉は木の幹に産み付けられたたまごからかえると地中に潜り、7年ほど過ごすそうです。そして、地上に這い出て羽化し、一夏(7日から数週間)鳴き通すそうです。
「7年も土の中にいて、たったそれだけしか地上で過ごせないなんてかわいそうに」一瞬そう思ったのですが、「いや待てよ。本当にそれはかわいそうなことなのか?」人間の物差しでみると、もっと言えば私の物差しでみると「地上は(のびのび過ごせそうだし)地中よりもいいところ」と感じるけれども、蝉にとって天敵の少ない土の中はいのちを狙われる心配もなく安全で快適なのかもしれません。
自分の物差しで物事の善し悪し、優劣判断してしまう。そんな場面は日常にあふれています。ちょっと立ち止まって、振り返ってみると少し物事、人への見方が変わって新しい気づきがあるかもしれません。