お盆をご縁に
夏休み中、子供達をどこへも連れて行ってあげられない代わりに自宅で子供達と映画をよく観ます。子供達の大好きな映画の1つに「リメンバー・ミー」というディズニー映画があります。メキシコの死者の日をテーマにしたものなのですが、初めて観たとき、日本のお盆のような風習が遠く離れた国でも大切にされていると知り、妙な親近感を抱きました。死者の日には、祭壇に先祖の写真を飾り、家族で先祖の霊をお迎えする。そして先祖の思い出話に花を咲かせ、先祖と今いる家族の絆をつないでいます。映画のラストシーンで先祖の写真を前に主人公ミゲルが生まれたばかりの妹に「これは◯◯おばさん。これは◯◯おじさん・・・・ここに飾られている写真はみんな僕らの家族なんだ」と紹介します。写真や思い出話を通して生前の先祖が生き生きと蘇ってくるのです。
この映画を観ていて乳癌でなくなられた小林麻央さんが生前BBCに寄稿されていた記事を思い出しました。
『人の死は、病気であるかにかかわらず、いつ訪れるかわかりません。例えば、私が今死んだら、人はどう思うでしょうか。
「まだ34歳の若さで可哀想に」
「小さな子供を残して、可哀想に」
でしょうか??私は、そんなふうに思われたくありません。なぜなら、病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからです。私の人生は、夢を叶え、時に苦しみもがき、愛する人に出会い、2人の宝物を授かり、家族に愛され、愛した、色どり豊かな人生だからです。』(2016年11月23日BBC NEWS記事より抜粋)
死はとても悲しいことです。それ故に、亡くなったかたの人生全ての出来事が死の悲しみで覆われ、見失いがちですが、生きていた時間、喜び、悲しみ、楽しみ様々な感情に色どられた輝かしい日々は確かにあったはずです。身近でそれを見、感じていた家族や友人が法事やお盆という機会に生きていた日々を語ることで絆を感じ、私たちの中で生き生きとした存在としてありつづけるのではないのでしょうか。